最期をPGTに託した“おひとり様”の患者さん

先日、私が長く関わっていたひとりの患者さんが、静かに亡くなりました。

その方には、身寄りがありませんでした。

「おひとり様」として、この国で長年暮らし、仕事をし、静かに老いを迎えていった方です。

目次

カナダの老人ホームで旅立った彼女が、私に教えてくれたこと

私の最期はPGTが見てくれる

ご本人が老人ホームに入所して、PGTを利用する事になった患者さんです。

PGTとは、Public Guardian and Trustee(PGT)――カナダの公的後見制度

判断能力が低下したとき、身寄りのない人の財産管理や医療判断を担ってくれる存在です。

私自身、PGTと連携するケースは何度かありましたが、どこか「制度的」な印象を持っていたのも事実です。

やはり家族のように頻繁に患者さん達に会いに来るという事は、殆どありません。

でも、彼女のPGTは、すでに定年退職したと言っていましたが、彼女の最期を看取りにきてくれ、身の回りの整理整頓もしてくれて、人情味のある人のように感じれました。

「家族がいない」=「孤独」ではないのかもしれない

家族に囲まれて最期を迎える人もいれば、

ひとり静かに自分の時間を閉じていく人もいます。

この患者さんは後者でした。

「誰にも迷惑をかけたくない」「人に頼らず生きてきた」人生。

それは、ある意味とても強く、素晴らしい生き方だったように思います。

医療者や介護スタッフが、できること

「誰にも迷惑をかけたくない」「人に頼らず生きてきた」そんな患者さんの人生が、最期に少しだけ、

誰かとつながっていたら…と、思ったりします。

彼女のような身寄りのない患者さんにとって、私達、医療者や介護スタッフが「最も近くにいる人達」になります。

まさに医療者や介護スタッフが、家族のような存在です。

だから、患者さんの最期を頻繁に見にいって、『あなたは一人じゃないよ。』って伝えてあげたいと思いました。

さいごに

おひとり様で、身寄りがなくても、カナダにはPGTのような制度があるので、安心して最期を託せる環境があります。

でも、やはり人生の最期には、誰かが側にいて欲しいのではないかと思ってしまいます。

家族がいないのであれば、それが親戚や友人であったり、、、。

今回の彼女の最期は、彼女から私達への『人生の最期』について、彼女が教えてくれた最後の『贈り物』だったのかもしれません。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

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