【カナダ生活】家族の一員のように思える患者さんが、人生の最期を迎える時

私の職場の老人ホームで、4年間住んでいた患者さんが亡くなりました。

入居された頃は、車椅子でした。その頃は、患者さんも車椅子から自分で立つ事が出来ました。

あれから、徐々に弱くなり、最近では、寝たっきりの状態が続いていました。

そんな患者さん、最近では新型コロナウィルスに感染し、より一層衰弱していきました。

目次

患者さんの娘さん

患者さんの娘さんからは、毎日決まった時間に電話がかかってきます。

私のシフトでは、夜の7時10分頃にかかってくる電話は、その患者さんの娘さんからです。

患者さんが話を出来る頃は、娘さんからかかってきた電話を患者さんの側に置いて、毎晩話をしていました。

でも、話が出来なくなってきた頃には、私達ナースが娘さんへ患者さんの状態を報告するだけの電話になっていました。

患者さんに緩和ケア(Palliative Care)が始まった頃、娘さんは「今週末働く全てのナースの名前を教えて欲しい。」とデイシフトのナースに要求したそうです。ビックリしました。

娘さんとしては、私と同僚Kの名前がある日を確認すると安心したそうです。

そんな娘さん、私と同僚Kには、絶対的な信頼を寄せてくれていました。

娘さんが、自分のように思えた

娘さんが患者さんを訪問中、「私、とても悪い娘なの。」(I’m such a bad daughter.)と、何度か私に言ってきました。

私、COCO

どうして?

いつも母の言う事に反発ばかりしていたの。

私の母って、私の事を常にコントロールしようとして、あれもこれもダメとか、、、。だから、いつも反発していたの。

私、COCO

なんだか自分自身に話をしているよう⁈

私、COCO

私も同じような経験があって、気持ちはすごく良くわかるよ。
それって、結局は母親の愛情表現だと思うんだけど、、、。
それに以前はそういう風に反発してたかもしれないけど、今ではお母さん(患者さん)の事を心配して、毎日訪問に来たり、電話したりしてるから、お母さんもきっと喜んでいる筈だよ。

そんな風に枕元で話をしていると、娘さんが様子を見に来てから、その日、一度も目を開けなかった患者さんが目を開けました。

私と娘さん、顔を見合わせて、「枕元で大きな声で話をしていたから、きっと聞いていたね。」笑。

患者さんが亡くなる前

私の2週間の休暇の前日、娘さんが帰宅する前に娘さんに会っておこうと思いました。

娘さんに会って、もう一度「あなたは素晴らしい娘さんだよ。お母さん(患者さん)もきっと喜んでくれているよ。」とそう伝えたいと思いました。

私がそう伝えると、娘さんの目から涙がポロポロとこぼれ落ちました。

ハグをしてあげて、「私は明日から2週間の休暇で、お母さんを最期まで看る事が出来ないけど、、、。今日は痛みがないよう、頻繁に様子をみておくね。」と伝えました。

娘さんから「本当に、今までありがとう。」という言葉は、今までにもなく嬉しかったです。

さいごに

老人ホームに長年住んでいる患者さん達。

患者さんの家族によっては、頻繁に訪問してくださって、色々と助けてもらえる事も多々あります。

本当に感謝です。

そして、頻繁に訪問してくださるご家族の方々とは、日頃から色々と話をします。

そんなご家族も、気がつけば、なんとなく私の家族のようにも思えたりします。

可笑しいですよね。

だから、患者さんが亡くなれば、そのご家族の縁も切れて、少し寂しい気がします。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

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